三章〜違和感〜


あれから4日すぎた日のことだ。
 天候は生憎の曇り空、色合い的にそろそろ雨が降るだろうと予想され、テレビの予報では午前40パーセント、午後60パーセントの降水確立だそうだ。
 窓の外はいつもの3階からの風景ではなく、一階の西館の診察室からの景色だった。
「小田島 幸助?」
「そうです。小田島君です!知りませんか?」
 今日は定期健診の第2回目とのことで玖綱に美耶子は幸助について聞いてみた。
「うーん・・・そんな子いたかなぁ・・・・?」
 玖綱は美耶子の足を小さな小槌で叩きながら痛いとこはないかい?と聞いてくるも、ギプスに覆われているため、痛みも何も感触すらない。
 私は首を振りながら、
「えーと、特徴は真っ白な髪でー、こう、ひ弱そうな、同い年くらいの!!」
 玖綱ははて・・・・?と少し考えるも、知らないなぁといい。隣の看護婦にも聞いてみるが、看護婦も知りませんねぇ。と首を振るだけでだった。
「あれじゃないかな?見舞いに来てたんじゃないかな」
「あー・・・・うーん」
 そういえば、髪にばかりに気を取られてて服装みてなかったなぁー・・・がっくし。
「よし、異常なし。引き続きリハビリもかねて散歩とかしてください」
「はーい。わかりました」
 と、その時一人の看護婦がノックもなしに診察室に駆け込んできた。
 看護婦は東館の藤田さんが・・・と小声で玖綱に耳打ちすると、また走って部屋を出ていった。
「急患ですか?」
 私はそれとなく聞いてみる。まぁこれはほんの野次馬からなのだが、玖綱はああ、と短く答えて、いよいよかと・・・眉を下げた。
「さて、僕はもうこれで失礼するよ」
「はーい」
 外は相変わらずの曇り空だ。

 東館に戻る通路を移動してた時のことだった。
 ふと、2階の右から2番目。そこの窓の中で幸助が立っているのが見えた。
 その姿は、白の病院の支給されているシャツだった。私は違和感を感じながらも、会いにいくために、そこへ向かった。
 202号室。藤田 実 どうやら、この部屋も一人部屋のようだ。
 そういえば、さっき診察室で看護婦が藤田さんがどうとかいってたのを思い出したが、中が随分と静かだったため、そんなことをすぐに忘れ、ノックだけして中に入った。
 中は本当に静かだった。
 静かといっても、外では小学校の鼓笛隊の練習音。風の音。時計の針を進める音だけが支配していた。時が止まっているかと思うくらいの静寂の中、美耶子は部屋へ入った。
 あるのは、ベッドと、花瓶がおかれている机、それに横たわる老人。幸助の姿はそこにはなかった。
「あらら・・・部屋間違えちゃったかな・・?」
 美耶子はそのまま失礼しましたーと引き返そうとした。
「おや・・・まだこの儂にも・・・お見舞いに来てくれる者がおったとわな・・・・」
 たぶん、静寂でなかったら聞き取れないほどの清涼で、老人 藤田 実は声を発した。 
 外はついに雨が降り出した。





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