〜この空と君へ〜


 プロローグ

「はぁ・・・」
 それは、ただ退屈で平凡な毎日だった。どっかの小説みたく、未来人や宇宙人、超能力者を探してる、黄色いカチューシャがトレードマークの少女はもちろん、
 未知な生物の出会いもなければ、転校生にぶつかることもない。だからといって別に友達がいないわけでも何も面白いことがない!とはいいきれない。
 でも、何か刺激が欲しかった・・・といえば嘘ではないだろうが・・・これは・・・その・・・なんだろう・・・突然すぎた。
「はぁ・・・」
 二度目のため息、わけがわからない。そう、気づいたらここにいたのだ。
 この、第二 三千代病院、東塔3階 303号室(後で教えてもらった。)に私こと、樫木 美耶子は病室にいた。
 く〜きゅるるる。
「お腹・・・すいたなぁ・・」
 私のお腹が可愛らしく声を上げていた。というものの、今の私は動きたくても動けないでいた。
「なんで私の片方にギプスつけてるの?」
 謎なことはたくさんあるが、一番大きな疑問点はこの左足についているギプス、足はもちろんのこと、なぜか膝にもついていて曲げることができないでいた。
 近くには松葉杖があるかと思い、見渡してみるが、その影はなく、また6人部屋のはずなのに、自分以外誰も部屋にいないのである。
 ナースコールを押そうとも思ったのだが、なぜかボタンが・・ないのだ。
 これは、病院としてはまずい部類の欠陥ではないのか?と、思いながら私は外を眺める。窓際だったのが幸いしたのか、しばらくは時間が潰せた・・・と思う。
こんこん。
 そんな時だろうか、ぼーっとしていた私の耳に軽いノック音が聞こえた。私はとっさのことに声が出せなかったが、どもりながらも、ど、どうぞ、ということはできた。
「おや、起きたみたいだね」
 と、部屋に入ってきたのは白衣を着た、歳30弱の気さくそうな男性だった。胸のところに名札がついていて、私のベット横の椅子に腰掛けるときに、
 玖綱 正樹(クツナ マサキ)というのが見えた。
「えーっと・・・お医者さんですか?」
「そう、僕はお医者さんだ。外科医の玖綱 正樹・・・まぁ見てのとおりだけどね」
 そういって玖綱は、カルテらしきものにさらさらとペンを走らせる。
「さて、樫木さんはなんで自分が入院してるか、わかるかな?」
「いえ、まったくもってわかりません」
「ははは、そうかそうか、なら教えようか」
 玖綱はそう笑いながらいうと、まず、今日が10月24日というのを教えてくれた。
そして、私がここで入院しているのは、昨日、私が学校からの帰り道にトラックにはねられたのだという。
「ということは、この足の骨折はその時のものなんですね」
「ははは、いやいや、その骨折はね・・・」
 トラックにはねられた私は、運がいいのかはわからないが、軽く頭を打っただけだという。
その時にトラックの運転手が出てきて、私を病院まで送るといって私を送った。
そこまで聞いた私はどこにこの骨折と関係が?と思ったのだがそこからが原因だ、と玖綱はいい、先を話し始めた。
「送られた君はここで、さらに僕に診察されて、異常なしということで返したのさ、脳波も安定していたしね」
でもね、と玖綱は急に眉間に皴を寄せ言った。
「君は・・その・・・」
「ま、まさか・・・私不治の病とか!!!」
 何か言いよどむようなことがあるんだろうか?と私は不安になり最悪の物語を・・・
「いやいや、そんなことだったら返さないよ」
「じゃあ!いったいどうして骨折したんですか!?」
 玖綱は苦笑いしながら私を見やると、
「君ね、階段からこけたんだよ。こう、“つるーん”とね」

『・・・』

「へ?」
 我ながらずいぶんとまぬけな顔をしていたと思う。反省・・・
「いやーすごかったよ、この病院でも有名な13階段の一番上からぐるぐる回りながら落ちたのはね」
 その光景を思い出したのか、玖綱は声を殺しながら笑っていた。
「そ、そうですか・・・」
 私は逃げ出したい!と思いながら、逃げ出すことのできない足を呪った。





 ひょんなことからこの病院で生活することになってしまったわけだけど・・
 これは何かが起きる予兆なのかな?と私はこの時にすでに期待していたのかもしれない。
 そして、その予想はその日のうちに的中したのだった。











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