猛 省




雨がぽつぽつ降っていた。


バンナイはフゥー・・と軽いタメ息をもらすと、

ヘア・ワックスをモミ込んだ髪の毛束をつまんだ。

あきれ果てた目線は、下。

バンナイ「あんた、何日ここ居んの」

マグマ団本部入口。

正門の前に、大の男がゴロっと倒れていた。

背丈は高いほうでないが、横に丸みをおび…

太い筋肉の上に脂肪がボヨンとのったような肉付きよい体系をしている。

顔は…雨のせいでぬかるんだ地面の泥へうずめていた。

男「お願げぇします、自分もマグマ団さんに入れてください…」

うめき声混じりに、なんとこの地べたの男はマグマ団に入団希望した。

バンナイ「…無理だよ、本当に」

バンナイは心底嫌そうに顔を引きつらせた。


団員「バンナイ、そろそろ出ないと・・マツブサさんだいぶ待たせてるぞ」


後ろで様子を見てたひとりの団員が声をかけた。

バンナイ「だって、このデカブツ邪魔なんで」

比較的、仲良くしてる団員でバンナイは彼の肩にもたれかかった。

団員「はあ…、おい寝っ転がってるお前、もう諦めてヨソ行きな」

バンナイ「どんな粘っても、ウチは入団させないよ」

団員「組織体の色ってのあるだろ、うちは不適合なんだよ おっさん」


男「じ、自分はまだ十代です…!」


バンナイ「嘘つけ」

団員「嘘だろ、え?」

なんだか雨が激しくなった。


男「ちょ、ちょっといや、よく間違えられるんですけど…!」


バンナイ「なに照れてんの」

団員「なにも照れること言ってない」


男「自分もマグマ団さんに入団して、先輩方のようなイケとるメンズにして下さい!」


バンナイ「土台無理だから」

団員「最後すごい他力本願な希望だな」

バンナイ「鏡みろよ」

団員「Σ直球だな。まあ…そういう事、諦めて帰りな」

バンナイ「マグマ団はね、未成年は働けません〜」

団員「ハ…ハハ(嘘だけど)」


男「Σ悪の組織なんにですか…!」


あまりの衝撃に自称・未成年の男は、地面からガバッと大きな顔を引き上げた。

泥だらけの、鬼気迫った男の形相は凄まじく、

バンナイと団員はギョッとして仰け反った。

だが二人はその瞬間に、本部へと続く道の遠くから、

雨傘をさしてトボトボ歩いて帰ってくるマツブサの姿を見つけてしまった。

タイミングの悪い人…!バンナイと団員は気まずそうに互いを肘で突きあった。

一方、マツブサはというと所用を済ませフエンタウンから戻って来たのだが、

本部入口の這いつくばったままの男の姿に気づくと、ギクッと立ち止まり、

ゆっくり後ずさりを始めて、そのまま来た道を引き返そうとした。

しかし。

問題の男が、バンナイ達の目線が正面の自分を通り越し、

その遥か後ろの先へ向けられている事に気づき、

それにつられて振り返ってしまった。

マツブサ「平常心を…」

男と視線が合い、発見されたマツブサは、諦めて近づいてきた。


バンナイ「マツブサさんすいません、俺がモタついちまって…」

団員「自分は、早く出るよう促しました!」

バンナイ「ちょっと、そうやって裏切るの!」

マツブサ「まあまあ、事情は分かりますから…」

マツブサはため息をついて、地べたの男を眺めた。

すかさず男が口を開いた。

男「赤髪の面接官さん、自分をマグマ団に入れてください…!」

マツブサ「Σ嫌だ!」

即答した。





【上層部】


ホムラ「ホカゲ、風呂どうすんだ」

その頃の幹部。

珍しくホムラの方から、ホカゲの部屋を訪れた。

ホカゲ「…雨だからでれません」

布団の中から無気力な声がした。

ホムラ「寝てんのか・・、良い御身分だぜまったく」

ホムラは部屋へ上がってくると、布団で丸まるホカゲの傍に腰を下ろした。

ホカゲ「おお?…帰らんの?」

布団の中から、ホカゲが不思議そうに顔だけ出してホムラを眺めた。

ホムラ「…。」

ホカゲ「…ん」

ホカゲは居心地悪そうに、ソソソと半身を起した。

ホムラ「別に寝そべったままで構わん、聞け」

ホカゲ「や…、寝てるとこ見つめられても変な気持ちだろ」

ホムラ「見つめてなど、無い」

ホムラが睨んだ。

ホカゲ「なんかオレに用だろ、話せよ」

結局ホカゲはダラッと寝そべった。


ホムラ「ホカゲ。最近、団員が減った」


ホカゲ「へ、減った…?」

ホムラ「気づかないか?」

ホカゲ「どれだ…サボり?やめた?つれサラレタ?」

ホムラ「…春に新人団員を多く取ったろ、各部署は賑わってるか?」

ホカゲ「そいうや本部の人口密度、さほど変化ねーな」

ホムラ「そうだ。配置したはず場所に、団員の数が足りない」

ホカゲ「調べたんだろ?」

ホムラ「調べた…」

何故だか歯切れの悪いホムラに、ホカゲは首を傾げた。

ホカゲ「ど、どんだけ減ったん…」

ホムラ「原因は三つだ。ひとつはどうしようもねぇ馬鹿新人ども」

ホカゲ「新人!まさか入団早々もう辞めたんか!?」

ホムラ「いや…、ストライキだったか?新人担当と何度か衝突してたようだ」

ホカゲ「Σそれ理由に入団早々サボりか」

ホムラ「しめてやねぇとな、新人どもには後日しかるべき処罰を」

ホカゲ「処罰を、サボりはいけませんな!!」


ホムラ「ふたつ、枕の怪物」

ホカゲ「はえ?」


ホムラ「…枕の怪物」

ホカゲ「何だそれマクラノーカイブツって」

ホムラ「日暮れの頃、本部の下層階をうろつく化け物らしい」

ホカゲ「ん?それならオレもどっかで聞いたぞ。ここ最近の噂話だよな!」

この件にはホカゲも興味あるようで、再び体勢を起こしてきた。

ホカゲ「日が沈む頃、どこからともなくヌラァ〜・・とデッカイのが現れるんだろ」

ホムラ「右手側の脇に枕、左手側の脇に古い鞄を抱え、フロアを徘徊するらしい」

ホカゲ「"泊めろォ〜泊めろォ〜…"てオゾマシイ声を上げて接近してくるとな」

ホムラ「…つまりこれの正体は」

ホカゲ「…ワタルさんな」

ホムラとホカゲは、同時にガクッと肩を落とした。

ホムラ「今どこに住んでんだ…?」

ホカゲ「さあ…、今年もホムラの部屋が良いとか散々駄々コネてたろ…」

ホムラ「断った」

ホカゲ「知ってる」

ホムラ「それで変わりの部屋を用意させたはずだが…」

ホカゲ「ワタルさんなら下っ端ライフを満喫したい的な事を言ってたぜ」

ホムラ「それだ」

ホカゲ「なにが」

ホムラ「日替わりで下っ端の部屋泊まり込んでるやがるんだ」

ホカゲ「下っ端大迷惑。ワタルさんも物好きなー…」

ホムラ「それで巻き込まれた団員達だが、重度の体調不良で寝込んでる」

ホカゲ「まじでか、なんと哀れな下っ端ども…」


ホムラ「最後、みっつ目 …四階」

ホカゲ「Σな、なんだろう」


ホムラ「全滅だ」

ホカゲ「ご、ご苦労様です…」

ホムラ「団員が消えた」

ホカゲ「そ、そっと しとこう…」

ホムラ「それがいい」

ホカゲ「…。」

ホムラ「…。」

ホカゲ「元気だせェ、ホムラよ。オレと風呂行こうぜ?」

ホムラ「行く」





【下層部】


正門前、モメていた。


たまらず、マツブサがギャアアと門にしがみついた。

マツブサ「Σき、き、君その手を放してくれないかな…!!」

その足首を、先ほどの泥だらけの男が必死で掴んで懇願している。

男「どうかどうかどうか自分をマグマ団に入れて下さぁぁぁい!」

マツブサ「ほんと怖いよ君!」

男「マグマ団さんのユニフォームが着たいんです…!」

マツブサ「Σいやだあ・・うちにだってイメージってものがあるんだよ!」

男「マグマ団がいいです…!」

マツブサ「だ、だいたいね・・君ほどのポヨポヨの体系、団服のサイズが無いよ〜!」

男「頑張ります…!」

マツブサ「頑張ったって入らないでしょ、特注はナシです!」

男「努力します…!」

マツブサ「の、伸びちゃうよ…?」

マツブサは想像した、ビヨ〜ンと伸びきった団服を着て任務する男の姿を。


マツブサ「絶対に、阻止しろーーーー!」


数名の団員達が、男に飛びかかった。

団員達は雨に打たれ、泥だらけになりながら、

男の腕や腰、足などを引っ張り、何とかしてマツブサから引き離そうと努力した。

バンナイ「あんたら、ポケモン使えよ」

団員「バンナイ見てないで手伝え…マツブサさんが!」

バンナイ「はいはい。でもね、俺は濡れるの嫌なんで」

バンナイは正面玄関の階段に腰を下ろして見守った。

団員「おいバンナイ、水も滴る〜…?」

バンナイ「俺、イイ男ですが、ちょっとな。団体戦むいてなくて」

団員「Σクビになっちまえーッ!!」


ワタル「加戦するぜぇえぇえ〜!!」


突如、爆声がした。

耳を押さえて伏したバンナイの後ろから、ワタルがヌラァ・・と現れた。

ギラギラと目を輝かせて、目の前の乱闘に興奮してる。

バンナイ「Σワ、ワタルさん…騒ぎを嗅ぎつけてきたな」

ワタル「オイお前ちょっとコレ持っておけ!!」

ワタルは返事も待たずに、マイ枕とマイ鞄をバンナイの頭に押しつけた。

例の噂の、枕と鞄である。

バンナイ「Σ俺の髪を潰さないでよ!!」

ワタルはお気に入りの下っ端専用・団服マントを脱ぎ過ぎてると、

黒色のインナー1枚になり、バシバシと拳を叩き合わせた。

ワタル「オレが勝つ!!」

そしてロケットのごとく戦場へ飛び立った。

ギャー!という大悲鳴が上がり、乱闘は敵も味方も無くなった。


ワタル「お前ら、来い!かかって来い、もっと!」


2分くらいして、立っているのはワタルだけだった。

バンナイ「生身かよ」

おいおいと突っ込んでみたところで、バンナイはハッと気づいた。

いる…もう二人

嫌ァ・・な予感がして、少しずつ・少しずつ後ろを振り返ってみた。

バンナイ「お、お出まし…」


ホムラ「…。」

ホカゲ「よ。」


ホムラと、

小首を傾げたホカゲが、

バンナイのすぐ背後に、静かに立っていた。

二人とも、入浴セット入りの風呂桶を小脇に抱えている。

温泉銭湯行きの途中、この場で通せんぼされて機嫌が悪そうだ。


ホムラ「なんだァ、この有り様はァ…」

ホカゲ「ご近所迷惑なのですぐ止めるように」


…了解★

バンナイは片目をつむって敬礼した。

バンナイ「はいはい。下っ端ども、ホムラさん ・・とオマケのホカゲさんですよー」

ホムラ「テメェ等、入口で見っとも無ぇ真似してんじゃねぇぞ」

ホカゲ「バンナイ君、許してやるから銭湯の牛乳代おくれ」

団員達は、ピタッと停止した。

数人掛かりで執拗な男を押さえつけていたのだが、

みな幹部に向き直ると、とても美しく敬礼した。

そしてやはり、直後 お辞儀した。

…だがホムラは良しとしなかった。

まずい…団員達の顔が青ざめた。

バンナイはワタルの荷物を抱えて立ち上がると、マツブサへ視線をやった。

バンナイ「良かったですね、マツブサさん」

正門に張り付いていたマツブサは、頷いた。

マツブサ「た、助かった…」





【中庭】


乱闘組一同は、本部の中庭に連行された。

相変わらず雨が降る中の、ぬかんだ地面の上に全員正座させられ、

関わった団員達はプルプル震えて制裁を待った。

…どさくさに紛れ込んだワタルだけが、踏ん反りかえってあぐらだった。

雨避けで緊急設営させたテントの中から、幹部が尋問を始めた。


ホムラ「発端は」


男「自分をマグマ団に入れて下さい・・!」

団員達『Σイマハヤメロ』

その場の団員一同が捨て身のタックルをかました。

ホムラ「誰だ」

団員「さ、指された者以外は口を挟むな! ご説明します」

その後ろで別の団員達が、男をグルグル拘束した。

ホカゲ「手短にな!」

ホムラ「ホカゲ、黙れ」

ホカゲ「だって風呂ォ…」

ホムラ「分かってる…」

 ワタル「ふ、風呂ォ!?オレも連れてけ!!」

 バンナイ「ワタルさんここは順序を守ろう…」

ホムラ「説明を」


団員「この男は入団希望者です。昨年の夏、一度目の入団試験を受けました。

結果、落選しました。その次、秋に再び入団試験を受けました。

結果、落選しました。そして冬、みたび入団試験を受けました。

結果、落選しました。そしてこの春…入団試験を受けました…

結果、やはり落選しました。」


ホカゲ「すげぇ」


マツブサ「と、当然です!」

マツブサが一歩だけ前へ出た。

マツブサ「去年の夏から面接は全部、コノ マツヴサが担当ですからね」

ホカゲ「そだっけ、入団管理はホムラじゃなかったか?」

バンナイ「ホムラさんは昨夏、任務に出てたでしょ、マツブサさんが引き継いだの」

ホカゲ「 納 得 !! 」

ホムラ「最近の見てくれだけで使えねぇ新人連中は、そういう事だ」

マツブサ「でも目の保養で良いと思いますが!」

ホムラ「…まだホカゲに任せた方が人選マシだったか」

ホカゲ「おう、任せろ!!」

バンナイ「や、それはそれで どうかなぁ…」

ホムラ「…こちらの話しだ、進めろ」


団員「そして、ここ一週間の事でありますが。

ついに我が本部の正面、正門前にて座り込み抗議を開始。

入団を受け入れるよう要求する強硬手段に出ました。

しかし、大した支障とはならなかったため、これを放置しました」


ホカゲ「Σなにこの男、一週間も座り続けたのか!」

一週間も、正門前に…?ホカゲは記憶を掘り返した。

ホカゲ「でもオレな、外出する時ぜんぜん見かけなかったぞ」


団員「はあ…それが、小まめに休憩を取り、昼飯行ったり温泉行ったり」

バンナイ「夜はどっか帰ってくし…見下げ果てるよ」

全員の視線が、拘束され地面でグッタリしてる男へ注がれた。

確かに、一週間も座り込み続けたというには、いささか健康的すぎる。


ホカゲ「温泉浸かって飯食ってたとはフエン観光客となんら変わらんぜ!」

バンナイ「今日こそぁ雨に濡れて泥だらけど、てんで!昼過ぎに出勤さ」

ホカゲ「Σバ、バンナイ君…早口でオレよく分からねぇ…」

バンナイ「それで再三落としてくれたマツブサさんを見かけて突撃さ」

ホカゲ「整理、整理。今日はこの男、昼過ぎに座り込み始めてマツブサ遭遇な」

ホムラ「マツブサ」


マツブサ「はい。マツブサ、今日は町内会に呼ばれたんですけど、

正門出たところで、鉢合わせしちゃって…それはもう熱心な直談判ですよ、

取りあえず、みんなに協力してもらって町の会合に出席しましたが…

忘れ物に気づき慌てて連絡し、バンナイ君に持ってきて貰う事にしました」


バンナイ「はいはい。こいつ邪魔で間に合いませんでしたけど」


マツブサ「結局、必要ありませんでした。ので、会合も無事終わり帰ってきました…

そこで捕まっちゃいました…、もう、驚くべきは彼の執念ですよ…恐ろしい」


バンナイ「相当しつこいよ」


マツブサ「あ!ちなみに今日の町の会合は、

フエンタウンの銘菓を増やそうって会でした!

ご存じの"フエン煎餅"だけでなく、

温泉街さんから新たに"フエン饅頭"をやらないかって案で…

ジョウト地方の"怒り饅頭"に対抗したいらしいよ…

あ、ワタル氏睨まないで… 大丈夫です。無問題です。

なんせ"フエン饅頭(仮)"は、試食がイケて無かったので廃案しましたから…」


ホカゲ「マツブサ、試食の土産はどうした!!」

ホムラ「浅はかな事だ」

ワタル「懐かしいぜ。俺の地元でも"フスベ饅頭"っての作ってポシャってたわ」

ホカゲ「Σすでに他所が街ぐるみでパクってた…!」

バンナイ「フエン饅頭にフスベ饅頭…やたら似てりゃ末路も同じか」

ホカゲ「おお!名前似てるよな、フエンはフスベと姉妹都市しちまえ」

ワタル「じゃあオレん地元が、ネーチャンな!」

ホカゲ「Σいやワタルさんったら最凶の妹だろ」

バンナイ「そういう事じゃ無いでしょ」


ホムラ「何故、脱線する」

マツブサ「すいません」


ホカゲ「ホムラよ、乱入のワタルさんにも事情を聞いとこうぜ」

ワタル「おう!喋るぜ!!」

ホムラ「必要ない」

ワタル「Σえっ!?」

ホカゲ「ごめんなワタルさん、ヤメだってさ」

ワタル「Σえっ!?」

バンナイ「ワタルさん、枕あげますから眠ってていいよ…」

ワタル「Σまだいらねぇよ!?」


ホムラ「お前らの対応が悪かった、まず団員」

団員達『は、はい!』

ホムラ「ポケモンは全員が不所持だな、いい加減にしろよ」

団員達『毎度申し訳ありません』

ホムラ「本部の外周、201周して来い」

団員達『ありがたき幸せ…!』


ホムラ「マツブサ、新規入団者の管理は俺に戻してもらう」

マツブサ「う、うん。わかりました…頑張ってね」

ホムラ「俺に権利が戻ったワケだが… そこでお前だ」

ホムラは、手足を拘束され地面に転がってる問題の男を見やった。

男「は、はい!」

ホムラ「なぜマグマ団を?」

男「そ、それは…

ホムラ「どもるな、一発で喋れ」

男「はい!それはカイナシティで偶然見てしまったからです!!」

ホムラ「…。」

男「去年の夏です、自分カイナで見ちまったんです…その、その時を」

ホカゲ「なに見たん?」

男「海の科学博物館です、入ってく所を偶然見ちまいました…クールでした」

男は目をキラキラさせ、顔をボッと赤くした。

バンナイ「科学博物館といえば、ホムラさんが狙った…」

その場の一同が、ホムラの様子を伺った。

ホムラ「…なんだ、(俺のしくじりじゃねぇか)」

ホムラはムスッとした顔で、男を睨んだ。

ホカゲ「じゃあ去年の夏、襲撃したところを第三者に目撃されたってか、鈍ったな」

バンナイ「ああああ…みなまで言うなよ」

バンナイはチラッとホムラの横顔を盗み見た。

ホムラ「…そうか」

ホムラはテントの屋根の下を出て、地べたへ転がる男の元へ近づいた。

ホムラ「…他に見た奴は?」

男「自分だけです!」

ホムラ「…誰かに話したか?」

男「いいえ!」

ホムラ「…そうか」

団員達がざわめき始めた。

男の近くで傍聴してたワタルが立ちあがった。

 ワタル「おいお前、素直な奴だな」

男「あ、はい…?」

 ワタル「逃がしてやる、あとはオレが…」

男「え…?」


ホムラ「一週間後に新人研修だ、テメェも来い」


ワタル「Σ平和ボケかーーーーーーーーーァ!!!!???」


マツブサ「あ、耳鳴り…」

バンナイ「俺も耳鳴り…、一瞬やるかと思っちまった」

ホカゲ「物騒な…マグマ団は品格と温泉の組織だぜ…あと大地」

ホムラ「俺達の襲撃を見た直後、組織を突き止め受けに来るんだぜ、考えようだろ」

男「や、やっぱ団長の、団長様のあなた様は違いますだ…!」

ホムラ「…。」

ホカゲ「ホムラが団長か」

マツブサ「や…、団長はマツブサなんですけど」

ホカゲ「ところで。おっさん、おめーどこ出身?上のほう??」

男「あ、フエンタウンです」

ホムラ「Σ…。(近所かよ!)」

ホカゲ「だとよ、撤回しろホムラ」

バンナイ「謀りやがった。ちなみにこいつ、少年





マグマ団本部 騒然。


少年…?





ホムラ「若いのか… まあいい、取るかどうかはその時だ」

男「はい、頑張ります…!」


マツブサ「ああ…だめ。僕、気が滅入りそうです…」


ワタル「頑張れよ、ゴンちゃん!!

男「は、はい…?」

バンナイ「なにワタルさん、実は・・フエンの知り合いだったとか?」

ワタル「いいや、知らねぇよこんな奴… 外見、"ゴンザレス"っぽいだろ

ホカゲ「まじでか」

バンナイ「ありがたく貰いな偽名。俺は絶対、関わらないから」

 団員「(だから直球なんだよ…)」

ワタル「よし、お前ゴンザレス?」

男「は、はいゴンザレス!」

ワタル「ヨロシクな!オレ、ビッグだが下っ端のワタルだ!」

男「宜しくお願いします、ビッグさ…

ワタル「オレはワタルだ!!」


握手。


それを見たホムラが眉間に縦ジワを寄せた。

ホムラ「やっぱテメェ…(取らねェ)」

ホカゲ「察したぞ、ホムラよ…」

隣のホカゲがシミジミつぶやいて…

噴いた。


団員達は、取りあえず必死で拍手を送る事に徹した。

マツブサは消え入りそうだった…。





バトラー「新人研修があるんですか?」


一同解散した途端、ホムラの頭上から声がした。

四階の窓が開いていて、バトラーが桟に手をかけてにっこり笑っていた。

遠目でハッキリとしないが、なんだか背後に黒紫の煙が揺らいでいた気がする…

が!

ホムラはホカゲと無言で示し合わせると、やっと温泉へ向かう事にした。





おわり











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