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気がつけば暗い昏い部屋の中、あたしは何をしていたのか、ただ椅子に腰掛けていた。 ここは立ち寄った大きな街の、とある宿の一室。綺麗な装飾がされた物ばかりで、まるで綺麗事みたいに美しい部屋だ。 そこにあたしは居る。 何時だって共に行動する彼ら― 双子の兄と、一つ下の弟は、今、ここには居ない。 最寄りの駅まで、用事を済ませに行っているのだ。 用事とはしごく簡単だ。…明日の列車の券を買う。ただそれだけである。 「明日リゼンブールに帰ろうと思うんだけど」 ただそれだけの言葉。 紛れも無い自分達の故郷。帰りたいと思うのはごく自然なのに。 抗おうとする自分がいるのは何故だろうか。 ―行きたくない そう言ったなら、彼はどんなカオをするのだろうか。どんな言葉を紡ぐのだろうか。 「最低だねえ、あたし」 何時から「あの娘」を妬むようになった?この片腕を造ってくれたのは、紛れも無いあの娘なのに? 罰当たりもいい所だ。 ―ただあの娘と楽しそうに触れ合うエドワード、を見たくないだけなの。 キョウダイなのにオカシイ。 「それ」でもあたしを抱き締める彼は何? わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない 解らない けど抱き締め返すのそれだけは判る 窓の外は明るいのに。部屋は暗くてあたしは昏い。 もうすぐ帰って来る気がするのが嫌。 だけど来て欲しい。 そんな矛盾の天秤は不安定につり合う。 ―列車の券いちまい。彼の言葉ひとこと。あなた達ふたり。それだけで。 あたしはこんなにも憂鬱になる、あたたかな故郷に帰る一日前。 (あたしの分、買ってきてくれるんだろうね、) |